何が危険なの?人体に及ぼす悪影響は?その疑問、専門家がお答えします。
毎日飲む薬だから、きちんと知識を持って購入しましょう。
避妊法にはいろいろなものがありますが、日本で1番メジャーな方法といえばコンドームです。ですが、コンドームはつけ方が不十分だったり、つけることを忘れてしまったり、途中で破れたり、外れてしまったり…と確実な方法とは言い切れません。そこで、欧米ではコンドームよりもピルによる避妊が主流となっています。
今回は、毎日服薬することで確実に避妊を行えるタイプの、「低用量ピル」についてお話をしたいと思います。
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目次
低用量ピルを通販サイトで購入するメリット・デメリット
低用量ピルは、通販サイトで購入することができます。ネットで購入するにあたっての、メリットとデメリットをご紹介します。
低用量ピルを通販サイトで購入するメリット
低用量ピルの購入を通販サイトで行う最大のメリットは、値段が安いことです。低用量ピルに限らず、お薬を購入する際には、病院を受診するよりも通販サイトの方が安いことがほとんどです。
また、仕事や育児が忙しく、医療機関を受診する時間が無い方にとっても、通販サイトを利用することにはメリットがあります。
低用量ピルを通販サイトで購入するデメリット
低用量ピルを通販サイトで購入するデメリットは「安全性」が保証されていないことです。通販サイトの運営に携わっている人たちは、医師でもなければ薬剤師でもありません。
そのため、サイトに記載されている情報が間違っている場合も多々あります。偽物のピルが売られていることもあるので、通販サイトを利用する場合は、注意が必要です。
通販サイトで低用量ピルを購入すると危険な4つの理由
通販サイトでピルを購入することは、注意が必要ということをご紹介しました。さらに危険性を理解して頂くために、実際に危険な4つの理由をご紹介します。
危険な理由① 偽物の可能性がある
規制が厳しい日本国内とは異なり、海外では怪しいコピー薬や偽物の薬が数多く出回っています。理由はもちろん、簡単に儲かるからです。薬というものは本来、開発費を回収するためにとても高価に設定されています。
日本では広く健康保険が浸透しているため、負担が軽減されて医薬品を安く入手することができます。しかし、保険適応外の需要が少ない薬などは、1錠で1万円を超えるものもあります。
そんな高価な薬ですが、一般的でなくとも人々が欲しがる薬、例えばがん治療薬やED薬などは需要も価格も高いため、コピー薬でも価格が低ければどんどん売れてしまいます。しかし、きちんとしたメーカーが作っているコピー薬ならまだしも、中には適当にまねただけの、危険な偽薬もあります。
作っている工場には清潔さや安全性を測る検査基準もありません。ですがここでできた薬を最新の技術で剤形も整え、それらしい包装をすればまず見分けはつきません。
危険な理由② 個人輸入代行業者がほとんど
個人輸入である、という点は多くの危険性があります。そもそも日本国内で正規に流通している医薬品や化粧品、医療機器などは、薬機法に基づいて品質や有効性、安全性の確認がされていますが、個人輸入される海外製品にそのような保証はありません。個人輸入元の国で、薬の品質が我が国と同じレベルで確認が行われている保証もありません。
品質の確認が行われていない薬は、期待する効果が得られなかったり、人体に有害な物質が含まれていたりする場合もあります。いわゆる健康食品・ダイエット食品等として販売されている製品でさえも、健康被害を引き起こすことがあります。
また薬機法認可済みのように記載しているピルであっても、人の身体の構造もしくは機能に影響を及ぼし、健康被害を引き起こすことがあります。
薬が前項で挙げたような不衛生な場所や方法で製造された可能性があっても、個人輸入だとそれを確認する方法がありません。同様に虚偽または誇大な効能・効果・安全性などを表示して販売されている場合もありますし、正規のメーカー品をうたっている、偽造製品の可能性もあります。
危険な理由③ 医薬品副作用被害救済制度を受けられない
また、日本国内で正規の方法で流通している医薬品には、それを適正に使用したにもかかわらず重大な健康被害が生じた場合に、その救済を図る制度「医薬品副作用被害救済制度」があります。
この制度はとても広い範囲で適応されるため、日本国内の薬害に対する大きな保障となっています。しかし、個人輸入された医薬品や、医師・薬剤師の管理下でない不適切な使用方法が原因の健康被害については、救済対象となりません。
危険な理由④ 本拠地が日本ではない
多くの通販サイトが本拠地を日本に置いていません。置くとなれば、日本国内の薬機法をはじめとした、さまざまな法律を遵守する必要があるためです。薬機法では正式な認可を受けていないウェブサイト等で薬の販売目的で薬品名を記載したり、薬の効能を記載する事は禁じられているのです。
つまり、日本の個人輸入代行業者はホームページ上で取り扱っている薬の名前を公表する事は出来ません。では検索すればいくらでも出てくる日本語サイトの大手の個人輸入代行業者は、なぜホームページ上に薬の名前や効能等を堂々と記載できるのでしょうか。
実はこれらの業者は日本語のホームページを持ちながらも、本拠地をシンガポールや香港に構えているのです。
ゆえに、ホームページも本拠地のある国の法律下にあるホームページとなっており、日本の薬機法の規制を受けることはありません。つまり法の下の監視の目は全くと言っていいほど機能していないということなのです。
低用量ピルの種類
低用量ピルとまとめてきましたが、低用量ピルと言っても種類がいくつかあります。それぞれの特徴をご紹介します。
トリキュラー
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第2世代のピル「トリキュラー」は、バイエル薬品株式会社が開発した経口避妊薬(ピル)の一種で、卵胞ホルモン薬と黄体ホルモン薬が配合されています。
この薬は、避妊効果を持たせながら、ホルモンの量をアフターピルに比べ少なくしてあり、このことから低用量ピルとも呼ばれています。錠剤によって用量が3段階になっているので(3相性といいます)、自然なホルモン分泌に近いパターンが発現します。
また、3段階にすることでホルモン総量を少なくすることに成功しています。つまり、その分の副作用や体への負担が抑えられているということです。
トリキュラーには21とトリキュラー28がありますが、効能としての違いはありません。トリキュラー21は21日間服用を続けたのち7日間の休薬期間があるのに対し、トリキュラー28は28日間飲み続けます。
とはいえ、トリキュラー28の多い7日分の錠剤は、単なるデンプン錠です。7日間休薬することを忘れてしまったり、休薬期間明けで薬を飲み忘れたりすることがありそうな人はトリキュラー28をお勧めします。成分が同じ薬にアンジュ、ラベルフィーユがあります。
シンフェーズ
By: mixi-pill.com
第1世代3相性の「シンフェーズ」は、トリキュラーよりも以前に開発された薬です。総ホルモン量が少なくてすむ中間増量型のピルです。自然のホルモン分泌パターンに近いため、不正出血も少なく抑えられる傾向にあります。
また、シートに曜日が記入された「サンデースタート・28錠タイプ」のため、飲み忘れのミスが比較的少なく、生理を平日にすることができ、週末の予定が立てやすいピルです。
マーベロン
第3世代1相性のピルである「マーベロン」はトリキュラーとは異なり、ホルモンの量が変わらない1相性(1段階)の低用量ピルです。欧米ではホルモン量の調整をした3段階のピルよりも避妊しやすい、と考えらているためユーザーが多いです。
他の低用量ピルに比べ卵胞ホルモンの量が少ないため、頭痛・吐き気・肌荒れ・体重増加といった副作用の頻度が低いピルと考えられています。頻度は少ないですが副作用として見られるのは出血です。出血は服用中にみられ、若干の程度のものから連日続く場合があります。
服用を毎日同じ時刻にすることや、2~3シート服用していくうちに出血がおさまることもありますが、場合によっては出血が止まらないこともあります。そのような場合には、医師に相談してください。出血の頻度は100人に2~3人といわれています。
また、ピルはもともと大人ニキビの治療にも用いられており、通常服用開始から3ヶ月程度で効果が現れます。マーべロンでは1ヶ月目から効果が出ることが多く、ニキビでお悩みならばこのピルが一番おすすめです。しかし、服用のはじめにむくみなどがみられることがあるため、医師による正しい判断が必要です。
ヤーズ
「ヤーズ」はピルではありますが超低用量ピルという異なる種類に分類されます。月経困難症やPMSの軽減目的で発売されていて、トリキュラーなどの低用量ピルよりもさらにエストロゲンの配合量が少ないです。
また、日本で初の合成ホルモンであるドロスピレノンが黄体ホルモンとして配合されており、生体内の黄体ホルモンと近い働きをします。ホルモンの量、種類により低用量ピルよりも副作用がさらに出にくいとされています。海外では主に避妊薬として認可されているのですが、日本ではまだ避妊目的では認可されていません。男性ホルモンを抑制するので、ニキビや多毛症にも効果があります。
ルナベル
By: mixi-pill.com
第1世代1相性の「ルナベル」は保険適応させることができるのが大きな特徴です
生理痛用として処方され、避妊目的では使用できません。
低用量ピルを購入するのは通販サイト?それとも病院?
いろいろな世代・いろいろな薬効のピルをご紹介しましたが、「いろいろあるけど結局のところ、避妊目的のピルさえ選べばいいんだよね?」と、安易に考えてしまう方もいるでしょう。
ですが、それには注意が必要です。避妊目的でない肌荒れや生理痛軽減のためのピルを、避妊用の薬のカテゴリ分けをしているサイトも存在します。専門的な薬の知識がなければ、「これは避妊目的のピルだ」と信じて購入してしまうでしょう。
実際に届く薬も28錠1シートになっていて、いかにも避妊用のピルという感じがするため、疑うことなく服用してしまう可能性があります。ピルの説明を正しくできていないサイトもあるため、気をつけましょう。
また、今回いくつもあげた薬のほとんどは、どこの通販サイトでも一般的に取り扱われているお薬ばかりですが、日本では未認可の薬も複数含まれているので注意が必要です。さらに、個人輸入で購入した場合、万が一健康被害にあっても、医薬品副作用被害救済制度を受けることはできません。
このように、いい加減にピルを使用した先にあるのは、望まない妊娠です。「ちゃんとサイトの説明を見て購入したのに」と被害にあわれた人は言うでしょう。ですが、生まれることなく絶たれてしまう小さな命には、そのような言葉は届きません。悲しい思いをしないためにも必ず病院で適切なピルの処方を受けましょう。