避妊薬にはさまざまな種類のものがありますが、飲み薬である経口避妊薬はその他の方法と比べて手軽で確実なため、欧米では特に人気が高いです。
今回は、その中でも人気のある、一相性のファボワール錠21とファボワール錠28という薬を紹介します。ファボワールの製造会社や服用方法、注意するべき人、飲み忘れた際の対応などをご紹介します。
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目次
ファボワールとは?
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ファボワールは富士製薬の製品で、経口避妊薬に分類されます。黄体ホルモンと卵胞ホルモンの含有量が一定の一相性であるため、錠剤を選びません。緑色のプラセボ錠を除き、21錠のうちのどの錠剤も同じ成分です。
プロゲステロン活性比率を高めた黄体ホルモン「デソゲストレル」を使用しています。卵胞ホルモン(エチニルエストラジオール)は1錠のうち0.03㎎と低含量のため、低用量ピルに分類されます。
また、服用後の月経の回復が速やかなのも特徴の1つである、高い避妊効果を持った薬です。同じ薬理作用のマーベロン21とマーベロン28に対するジェネリック薬です。
薬品の検査基準が変わったため、長らく製造販売が中止されていましたが、2018年7月31日より製造が再開されました。
ファボワール錠21とファボワール錠28の違い
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ファボワール錠21は1シート当たり21錠の白色錠からなり、それぞれの有効成分はすべて同じです。
ファボワール錠28はファボワール錠21と同じ21錠の白色錠に加えて、緑色のプラセボ錠が付属します。
ファボワール28錠のプラセボ錠とは
緑色錠はただのデンプンで、何の有効成分も含まれていません。ですが、この緑色錠にも大きな役割があります。それは飲み忘れを防ぐことです。
このピルの特性上、薬効成分が必要なのは21日間のみで、それ以外の7日は休薬期間であり、ここで生理を起こします。つまり「21日間服用して7日間休薬して、また21日間服用する」といったサイクルが繰り返されるわけです。
毎日1錠服用するという行為は人間なかなか忘れにくいものですが、21日飲んで7日休んでの繰り返しはなかなか難しいものです。特に7日の休薬期間明けに服用を忘れる、という事態は後を絶ちません。
そこでこのプラセボの出番です。休薬期間中も毎日服薬するという行為は変わらないため、ずっと同じように毎日の行動を繰り返していくことができます。これにより飲み忘れを防ぐというわけです。
ちなみにファボワール錠21とファボワール錠28は価格は変わりません。特段の事情がなければファボワール錠28を選択するのがよいと思います。
ファボワールの成分
ファボワールの成分はプロゲステロン活性比率を高めた黄体ホルモン「デソゲストレル」と卵胞ホルモン「エチニルエストラジオール」です。
それぞれの成分がどのような働きをするのか次の項で見ていきましょう。
ファボワールの効果
ファボワールは経口避妊薬に分類される薬で、おもに女性のホルモン分泌系に作用して排卵を抑え、妊娠を防ぎます。また、子宮に作用し、受精卵の着床を防いだり、子宮内に精子が入りにくくする働きもあります。
避妊を目的として処方されますが、避妊効果は必ずしも100%ではありません。飲み忘れを含めた一般的な使用における失敗率は9%と報告されています。
よく勘違いされる方がいるのですが、この薬は、HIV感染(エイズ)および他の性感染症を防止するものではありません。これらの感染防止にはコンドームを使用することが大切です。
また、この薬は、自己判断して使用を中止したり、量を加減したりすると本来の効果が得られません。指示どおりに飲み続けることが重要です。
ファボワールの副作用
ファボワールの主な自覚症状のうち、以下のような症状があらわれた場合には、ただちに医師または薬剤師に相談してください。血栓症の可能性があります。
ふくらはぎの痛み・ふくらはぎの腫れ・手足のしびれ・鋭い胸の痛み・突然の息切れ・押しつぶされるような胸の痛み・激しい頭痛・脱力・まひ・めまい・失神・目のかすみ・舌のもつれ・しゃべりにくいなど
他には悪心、乳房痛、不正出血、嘔吐、だるさ、下痢、腹痛などが出る可能性があります。
ファボワールの飲み方
ファボワールの服用方法は先ほどもご説明したとおり、ファボワール錠21とファボワール錠28では少し飲み方が異なります。通常、成人の飲む量および回数は次のとおりです。
ファボワール錠21
1日1錠を毎日決まった時間に21日間連続して飲み、その後7日間は飲むのを休みます。月経が終わっていても続いていても、同様の方法で、避妊する期間繰り返し飲みます。
ファボワール錠28
1日1錠を毎日決まった時間に服用します。白色の錠剤を21日間、続けて緑色の錠剤を7日間、計28日間連続して飲みます。緑色の錠剤を飲み終わった翌日から、月経が終わっていても続いていても、引き続き白色の錠剤より飲み始め、同様の方法で、避妊する期間、繰り返し飲みます。
この薬を飲むときは、毎日一定の時刻に飲んでください。
次は初めて経口避妊剤としてこの薬を飲む場合と、そうでない場合の飲み方についてです。
初めてファボワール錠21を飲む場合
すぐに飲み始めるのではなく、月経の第1日目まで待ってから飲み始めるようにしてください。毎日1 錠ずつ21日間服用し、その後の7日間は薬を飲まないようにしてください。飲み始めの日が月経第1日目から遅れた場合、飲み始めの最初の1週間は他の避妊法を併用してください。
初めてファボワール錠28を飲む場合
すぐに飲み始めるのではなく、月経の第1日目まで待ってから飲み始めるようにしてください。毎日1錠ずつ28日間(白色の錠剤を21日間、引き続き緑色の錠剤を7日間)服用してください。飲み始めの日が月経第1日目から遅れた場合、飲み始めの最初の1週間は他の避妊法を併用してください。
次は他の経口避妊剤からこの薬に切り替える場合です。
21錠タイプの経口避妊剤から切り替える場合
前に飲んでいた薬をすべて飲み終わった後、7日間の薬を飲まない期間をおいてから、この薬を飲み始めてください。飲み始めるのが遅くなると、妊娠する可能性があります。
28錠タイプの経口避妊剤から切り替える場合
前に飲んでいた薬をすべて飲み終わった後、続けてこの薬を飲んでください。飲み始めるのが遅くなると、妊娠する可能性があります。
飲み方はコップ1杯程度の水またはぬるま湯で飲んでください。
もし、ファボワールを飲み忘れた場合は?
白色の錠剤の飲み忘れが1日の場合
気づいた時点で飲み忘れた1錠をただちに飲み、さらにその日の分も通常どおりに飲んでください。すなわち、その日は2錠飲むことになります。
2日以上連続して白色の錠剤を飲み忘れた場合
その時点で飲むのを止めて、次の月経を待って新しいシートから再び飲み始めてください。服用を中止したシートに残っている薬は飲まないでください。なお、飲み忘れによって妊娠する可能性が高くなるので、その周期は他の避妊法を使用してください。
ファボワール錠28の緑色の錠剤を飲み忘れた場合はプラセボ錠ですので、飲み忘れた分は服用せずに以降の錠剤を通常どおり飲んでください。
以上のように飲み忘れた際、1度に2錠など多く使用した時に異常を感じたら、すみやかに医師または薬剤師に相談してください。
ファボワールを服用する際の注意点
ファボワールを服用する際に、以下のような人は注意する必要があります。
ファボワールを使用できない人
・過去にファボワールに含まれる成分で、過敏な反応を経験したことがある人
・エストロゲン依存性悪性腫瘍(乳がん、子宮内膜がん)や、子宮頸がんのある人、またはこれらの病気の疑いのある人
・診断の確定していない異常性器出血のある人
・血栓性静脈炎、肺塞栓症、脳血管障害、冠動脈疾患のある人または過去にこれらの病気になったことがある人
・35歳以上で1日15本以上喫煙する人
・視界にチカチカした光が現れ、この光が拡大していくにつれギザギザした光となり中心が見えにくくなるなどの視野の異常がみられる片頭痛のある人
・心臓弁膜症のある人のうち、肺高血圧症や心房細動のある人や過去に亜急性細菌性心内膜炎になったことがある人
・糖尿病のある人のうち、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症などのある人
・血栓ができやすい体質の人
・抗リン脂質抗体症候群のある人
・4週間以内に手術を予定している人、手術後2週間以内の人、産後4週間以内の人、長い間安静状態の人
・肝臓に重篤な障害、肝腫瘍のある人
・脂質代謝に異常のある人
・軽度でない高血圧のある人
・耳硬化症のある人
・妊娠中に黄疸、持続的なかゆみまたは妊娠ヘルペス(妊娠 3~4ヵ月以降に発病し、激しいかゆみや痛みのある多数の水ぶくれができる病気)の症状が過去にあらわれたことのある人
・妊婦または妊娠している可能性のある婦人、授乳中の婦人
・現在、身長が伸びている人
・オムビタスビル水和物、パリタプレビル水和物、リトナビル配合剤(ヴィキラックス配合錠)を使用している人
(引用元:ファボワール錠21、28添付文書)
フォボワールを慎重に使用する必要がある人
・40歳以上の人
・子宮に筋腫のある人
・過去に乳がんと診断された人
・血縁に乳がんになった人がいる人、乳房にしこりのある人
・喫煙している人
・肥満の人
・血縁に血栓症になった人がいる人
・前兆のない片頭痛のある人
・心臓弁膜症の人
・軽い高血圧のある人、妊娠中に高血圧になったことのある人
・糖尿病のある人または耐糖能に異常のある人
・ポルフィリン症の人
・肝臓に障害のある人
・心臓病や腎臓病のある人または過去にこれらの病気になったことのある人
・てんかんのある人
・テタニーのある人
(引用元:ファボワール錠21、28添付文書)
フォボワールを慎重に使用する必要がある人
以上のことは自分で判断するのは難しいため、必ず医師や薬剤師の判断を仰ぎましょう。
ファボワールの購入方法
ではファボワールはどこで購入すればいいのでしょうか?病院で処方してもらう
最初から薬局やドラッグストアに行って購入することはできません。日本国内では薬品はすべて、薬機法という法律によって管理されています。中でもピルの場合は、処方せんが必要とされる「処方薬」として取り扱われています。
ピルは副作用が強いため、病院を受診して、医師の診断を受けたのちに服用するようにしましょう。
通販サイトで購入する
日本国内では、薬機法があるため、通販サイトで購入することはできません。しかし、国外となれば話は別。海外の通販サイトからであれば、ピルを購入することが可能です。
しかし、ピルの通販サイトの場合、サイトを運営している方は薬にも詳しくなければ医師でもありません。また、サイト内の情報が間違っていることも多く、大変危険です。
海外の通販サイトで取引されているピルの中には「偽物」が混ざっているという話も本当です。実際には見分けがつかないレベルで作られているため、特殊な機械で成分を分析しないと、ピルが偽物かどうか判断できません。
ちゃんと避妊をしたいのであれば、ピルの購入は通販サイトではなく、医療機関を受診した上で、医師に処方してもらいましょう。