避妊法にはいろいろなものがありますが、日本でメジャーな方法はコンドームですね。
ですがコンドームは、つけ方が不十分だったり、つけることを忘れてしまったり、途中で破れたり、外れてしまったりと、確実な方法とはなかなか言えません。
今回はそんな避妊が失敗してしまった時に飲む薬、「アフターピル」のお話をしたいと思います。
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目次
アフターピルとは?
アフターピルとは経口で服用する避妊薬です。普段から服用することで月経をコントロールする低用量ピルとは異なり、高い成分濃度を一度に服用する、緊急避難的に用いるピルです。他の避妊方法で失敗してしまった時に使用します。
「レボノルゲストレル」という黄体ホルモンと、「エチニルエストラジオール」という卵胞ホルモンが配合されており、受精卵の子宮内膜への着床防止や排卵遅延などを起こすことによって、妊娠を回避します。
アフターピルはいつまでに飲まなければいけないの?
アフターピルには時間の制限があります。性交後72時間以内の服用で75パーセント以上の効果が、24時間以内の服用で97パーセント以上の効果が期待できるので、できるだけ早急に服用することが望ましい薬です。
このように数時間の差で大きな差が出る薬なので、避妊に失敗したことがわかれば、少しでも早く医療機関を受診しましょう。
アフターピルには2つの避妊方法がある
そんな時間との勝負のアフターピルですが、服用方法が2種類あります。昔からある「ヤッペ法」と、新しく開発された「ノルレボ法」です。
今日ではノルレボ法が主流であり、ヤッペ法を採用するドクターはほとんどいなくなりました。理由とともにそれぞれの方法を見ていきましょう。
アフターピルの種類はこちら↓
避妊法 | 画像 | 効果 | 副作用 | 平均相場 | ジェネリック |
---|---|---|---|---|---|
ヤッペ法 | ![]() | △ | △ | 5,000円~6,000円 | - |
ノルレボ法 | ![]() | ◯ | ◯ | 15,000円~17,000円 | ◯ |
避妊効果が高い「ノルレボ法」
今となっては世界中で使用されている、緊急避妊薬による代表的な方法です。使用するノルレボ錠は、一般的な低用量ピルとは異なり、黄体ホルモンの「レボノルゲストレル」だけを含有しています。
性交後72時間以内に服用します。副作用も少なく高い安全性を持ち、避妊効果もヤッペ法に比べて高いです。
ノレルボ法の避妊の成功確率
以下の表は薬が効かなかった確率ではなく、妊娠した確率です。月の中でそもそも妊娠率がほぼない日もあれば、排卵日付近のとても妊娠率が高い日もあるため、数字はあくまで平均値であることを心に留めておいてください。
性交後の経過時間 | 妊娠率 |
---|---|
12時間以内 | 0.50% |
13時間~24時間以内 | 1.50% |
25時間~36時間以内 | 1.80% |
37時間~48時間以内 | 2.60% |
49時間~60時間以内 | 3.10% |
61時間~72時間以内 | 4.10% |
ノレルボ法の副作用
ノルレボによる副作用は服用後24時間~2、3日後まで続くとされています。副作用は成分の吸収とともに起こる急激なホルモンバランスの変化が原因なので、時間とともに軽くなっていきます。
症状としては、頭痛(12.3%)吐き気(9.2%)倦怠感、疲労感(7.7%)眠くなる(6.2%)などが挙げられ、他にも胸の張りや腹痛、ニキビといったケースが出ることもあります。
また、ほてりを感じることもありますが、これもホルモンバランスの変化で体が生理前のようになっているため起こります。過度に心配する必要はありません。
ノレルボ法の料金
ノルレボの処方は健康保険適用外であるため、価格は医療機関によって異なります。安い病院だと10,000円ほどで購入できますが、高額な病院だと20,000円以上することもあります。相場は15,000~17,000円の間です。
ノルレボ法に使用されているノルレボ錠についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
ノレルボ法より安価な「ヤッペ法」
ヤッペ法は、ノルレボ法が登場する以前まで主流であった緊急避妊法です。まずは使用するプラノバール錠について説明しましょう。この薬は卵胞ホルモンの配合量が中程度であるため、中用量ピルと呼ばれます。
卵胞ホルモンと黄体ホルモンによって生理周期を是正するため、月経困難症や月経周期異常、過多月経などを改善します。また子宮内膜を維持してはがれにくくするため、通常の月経以外に起こす出血を抑えることもできます。
さらに、女性ホルモンを補うために卵巣の機能を活発にさせ、卵巣機能不全を治療することもできます。これらの作用により、プラノバールは婦人科領域で広く活用されています。また、生理が起こる期間を延長できるため、薬の服用と休薬を繰り返すことで生理日を調節し、月経困難症や子宮内膜症などの症状を軽減することもできます。
ヤッペ法の避妊の成功確率
このようなプラノバールを避妊に応用したのがヤッペ法です。適切に服用した場合、データ上での妊娠率は3.2%程度ですが、ノルレボ法の項でも説明した通り排卵日付近での性交の場合、約45%が妊娠してしまいます。安価ですが副作用が気になるため、ノルレボが認可されて以降は、採用する施設は減っています。
ヤッペ法の副作用
主な副作用としては、悪心・嘔吐、食欲不振などの消化器症状があります。
また、重い副作用はほとんどないものの、重大な副作用として血管内で血栓ができて詰まらせてしまう、「血栓症」が知られています。
ヤッペ法はノルレボ法と比べて1錠当たりの含有成分が多いため、どうしても副作用が大きくなってしまうことが避けられません。保険適用させることも可能な薬なのも相まって、ノルレボに比べて価格は抑えやすいですが、副作用の強さとの兼ね合いでどちらを選ぶかは悩みどころです。
ヤッペ法の料金
避妊目的での処方は保険適用外なので5,000円ほどです。しかし患者の中にある月経不順などを診察して保険適用で処方してくれるドクターなら、ここからさらに負担が減ることもあります。
アフターピルの購入方法は2つ
このように大きく分けて2種類のアフターピルがありますが、アフターピルの購入方法も2種類あります。
実はピルを手に入れる方法としてはインターネットで購入する方法もあるのです。しかし、日本国内では法律により病院に行かなければピルを処方してもらうことはできません。ではなぜインターネットなら買えてしまうのでしょうか。病院と通販サイトを比較しながらそこの部分について詳しくご紹介します。
安全・安心を取りたいなら「病院」
病院でアフターピルを処方してもらうメリット
病院でアフターピルを処方してもらうメリットは、適切な診断のもとにアフターピルを処方してもらえることでしょう。アフターピルは副作用が強い薬です。
そのため、医師に説明してもらったのちに服用することが重要です。
病院でアフターピルを処方してもらうデメリット
病院で薬を処方してもらうことに、デメリットはほぼありません。
あえて挙げるなら、
・通販サイトよりも価格が高いということ
・家から出て病院に行かないといけない
この2つです。
病院でアフターピルを処方してもらう場合の費用
前述のとおりノルレボ法で15,000~17,000円程度、ヤッペ法の場合で5,000円程度です。
危険なリスクを取るなら「通販サイト」
通販サイトでアフターピルを購入するメリット
通販サイトでアフターピルを購入するメリットは、病院よりも安いこと。病院の場合は、交通費+診察費+ピル代が必要となります。しかし、通販サイトのアフターピルは、送料とピル代だけで済むため、病院より安いことがほとんどです。
しかし、通販サイトの中には偽物のアフターピルなどもたくさんあるため、注意が必要ですよ。
通販でアフターピルを購入するデメリット
通販サイトでアフターピルを購入するデメリットは、安全性が担保されていないことです。上述したように、通販サイトのアフターピルの中には有効成分などが入っていない、偽物のアフターピルなども販売されているのが現状です。
通販サイトでアフターピルを購入する場合の費用
通販サイトで「ノルレボと同じ成分」と記載されている薬だと、1,000~2,000円程度で購入することができますが、ノルレボそのものの取り扱いは調べた限りではありませんでした。もちろんこの薬が「ノルレボと同じ効果を発揮する」という保証は、誰もしてくれていません。
アフターピルの購入方法についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
結論│アフターピルを購入するなら「病院」がおすすめ
病院と通販サイトの、2通りのアフターピルの購入手段を説明しましたが、どのように感じられたでしょうか。安全性のことを考えると、病院で処方してもらうのが1番です。
アフターピルに関するQ&A
アフターピルにジェネリックはありますか?
いくつかの種類があります。
ノルレボのジェネリックなどは、病院によってはノルレボの7割くらいの値段で処方してくれるところもあります。しかし、取り扱っている病院はそこまで多くありません。
アフターピルの通販サイトは安全じゃないんですか?
通販サイトはその性質上、すべてが個人輸入サイトです。個人輸入サイトということで、販路も海外のそれぞれの工場や販売所になります。サイト側が誠意をもって取引に努めていたとしても、海外の事情が変われば箱だけ一緒で中身が変わることもあり得ます。
また通販サイトの中には初めから商品を送る気のない詐欺サイトや、違法な薬品を扱っているものも数多く存在します。そのようなサイトに個人情報を渡したり、送られてきた商品を服用したりすることはとても安全とはいえません。
性交渉から72時間以上経ちましたが大丈夫ですか?
排卵から着床に至るまでに7日程度かかることを考えると、5日以内であれば避妊できる可能性があるため、服用する価値はあります。ただし、内服した時点で着床が成立してしまっている場合には、効果がありません。
多くの文献で、性交後72時間以降120時間以内でも効果があると報告されていますが、有効率はもちろん72時間以内の服用と比べて低下します。データでは63%ほどです。
ただ、最新のピルでは服用後5日以内に飲めば比較的高い効果が見込めるものも登場しています。これらが検討できないか病院でドクターに相談してみることもよいでしょう。
アフターピルは病院で処方してもらってしっかりと避妊をしましょう
アフターピルは普段から服用する低用量ピルに比べて一度の服用で避妊を成立させるため、薬の中に含まれる成分も多いです。そのため副作用等の危険性も大きい薬です。
また、生殖器に作用する薬ということで風邪やねんざの薬とは異なり、より一層慎重に投与しなければならない分野の薬でもあります。そんなアフターピルをどこの国でどのようにつくられたかもわからない、誰が責任をもって輸入したかもわからない。そんなサイトで購入し、自分の既往歴やほかの薬との飲み合わせの危険性もわからないまま飲むことは、とても危険です。
そうして得られる差額は、1万円程度でしょう。1万円のために一生の健康被害を負うかもしれない、そんな覚悟はお持ちですか?
アフターピルは必ず病院で処方してもらい、安全に避妊をしましょう。